BREITLING 18K Yellow Gold CHRONO-MATIC 1969s
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今回ご紹介する一本は、1969年3月に世界初の自動巻きクロノグラフとして発表されたCal.11を搭載する、ブライトリングのクロノマティック Ref.2116である。18金無垢で世界100本のみが作られたとも言われ、小ロットでスイスからフランスへインポートされた特別な存在である。
「オーロラ7」(マーキュリー・アトラス7号)のミッションでアクシデントに見舞われたスコット・カーペンター。その腕に嵌められていたのもまた、一本のブライトリングであった。宇宙への熱き思いはそこで突然終わりを告げるが、1969年3月、世界初の自動巻きクロノグラフを世に出すことで、ウィリー・ブライトリングのプロローグは新たに始まったと言えよう。
世界初を巡る競争は熾烈であった。同じ1969年には、ゼニスが36,000振動のハイビート自動巻きクロノグラフ Cal.3019、ご存じエル・プリメロを、セイコーがデイト付きの自動巻きクロノグラフ Cal.6139を発表している。その中で事実上の世界初とされるのが、ホイヤー、ブライトリング、デュボア・デプラ、ハミルトン・ビューレンの4社が共同で開発したCal.11である。
ホイヤー社のジャック・ホイヤーをきっかけに始動したこのプロジェクトは、ブライトリングを中心にスイス時計業界全体を巻き込む形で実現した。しかし開発に投じた莫大な資金の返済に、クオーツショック、オイルショックが追い討ちをかけ、会社はやがてブライトリング家からシュナイダー家の手へと渡っていく。クロノマティックというモデル達は、考えつかないほどの血みどろの努力の結晶であり、その背後にウィリー氏自身の壮絶な人生のストーリーがあることもまた事実である。
ケースは、クロノマティックの中でもいくつかのモデルに採用された、モノコック構造のような厚めの18金無垢ケースである。手に取った瞬間に伝わるずしりとした重量感は、当時の思いを今に伝えていると感じることであろう。ダイアルにも時代の空気が色濃く表れている。1960年代の終わり頃から、各メーカーはクロノグラフの視認性にデザイン性を求めて原色を取り入れた。この個体もシャンパンゴールドの文字盤にネイビーの積算計、そしてオレンジのクロノグラフ秒針という大胆な配色で、オメガのフライトマスターやロレックスのエクスプローラーⅡにも通じる、その時代ならではの特色を感じさせる一品である。
現在の精度は日差+15秒前後、クロノグラフも完全に稼働している。世界初の自動巻きクロノグラフの物語をそのまま腕に載せられる、最高の一品である。
- 写真の腕のサイズは手首周り17cmです -
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